チャットGPT(ChatGPT)の問題点は?問題点を解決する方法はある?
チャットGPT(ChatGPT)の登場により、AIの実用化や共存が一気に加速しました。
日頃の業務も、チャットGPT(ChatGPT)を使えば、大幅な時短や効率化が可能なので、仕事や学習に使いたいという人は多いのではないでしょうか。
一方で、EUなど欧米諸国では、チャットGPTの情報漏洩などのリスクを鑑みて、導入に慎重な姿勢を示す企業・国・自治体は少なくありません。
そこで今回は、チャットGPT(チャットGPT)が抱える現状の5つの問題点(デメリット)と、その解決策についてお伝えします。
チャットGPT(ChatGPT)の抱える5つの問題点・デメリット
チャットGPT(ChatGPT)は、チャットに質問や指示を入力するだけで、数十秒で有益な回答を出してくれる、とても便利な生成AIチャットボットです。
文章の作成はもちろん、要約や校正、作曲やレシピ、プログラミングまで、幅広い用途に使用できます。
チャットGPTを業務に導入するえば、「1人(ないし2人以上の)とても優秀なアシスタントを雇った」のと同等のメリットを享受できると言って過言ではないでしょう。
一方で、現状のチャットGPTには、下記の5つの問題点・デメリットがあるので、注意が必要です。
問題点1. 情報が正確とは限らない
チャットGPT(ChatGPT)は、非常になめらかな文章で、膨大な学習データから回答をしてくれますが、チャットGPTの回答は “必ずしも正解とは限りません”。
たとえば、下記はチャットGPTに「アメリカの大統領は誰ですか?」と聞いてみたときの回答結果なのですが、「アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏」だと、間違った回答をしています。
「アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏」は、アメリカに実在する政治家で、2018年に史上最年少の女性下院議員になった人物ですが、なぜチャットGPTが彼女を大統領と誤認したのかは、わかりません。
流暢な文章で回答されるので、つい正解のようにと思えてしまいますが、ChatGPTは間違った回答をする可能性も少なくなく、注意が必要です。
問題点2. セキュリティ・情報漏洩のリスクがある
2023年4月、韓国IT企業大手『Samsung(サムスン)』にて、チャットGPTに下記のような依頼をしたことで、最低でも3件の機密情報が漏洩してしまったという事件がニュースになりました。
<SamsungでのチャットGPTによる情報漏洩経緯>
1. 半導体データベースのソースコードをコピーし、バグ修正を依頼
2. 欠陥のある機器の機密コードをコピーし、修正プログラムを依頼
3. 会議音声をチャットボットに投げ、議事録の作成を依頼
チャットGPT(ChatGPT)は、入力された情報を “学習データ” として利用し、第三者への回答に利用してしまうケースがあります。
機密情報を入力すると、意図せず情報漏洩してしまうリスクがあるので、注意が必要です。
問題点3. 最新の情報ではない
チャットGPT(ChatGPT)の回答は、2021年9月までの学習データを参考にしているので、“最新の情報” ではありません。
10年以上変わらない内容であれば、間違うリスクは少なくて済みますが、一見正しそうに見える回答でも、過去データや昔の根拠・ソースに基づいて、古い情報を回答してしまっているリスクがあるので、注意が必要です。
問題点4. 意図せずに著作権を侵害するリスクがある
チャットGPT(ChatGPT)の回答をもとに資料や記事、レポートを作成して、意図せずに著作権を侵害してしまうリスクもあるので注意が必要です。
チャットGPTが学習に使ったデータには、著作権の存在する文章・データが含まれている可能性があります。
著作権侵害の意図はなかったとしても、チャットGPTで生成された文章を用いると、著作権のあるほかの文章と酷似した表現になってしまうリスクがあるので、注意しましょう。
問題点5. 専門性の高い内容には使えない
チャットGPT(ChatGPT)が現状抱える問題点、さいごの5つ目は、専門性の高い内容には使えないという点です。
チャットGPTの学習したテキストデータ量は、GPT-3.5を用いていた時で『45TB』に登ると言われており、TBからGBに換算すると、最低でも『45,000GB』以上ということになります。
Wikipediaの英語版は、”全記事” で『95GB』にしかならないので、チャットGPTが本当に膨大なデータを学習していることがわかりますよね。
ただ、学術論文や研究結果など、専門性の高いデータは、特定のデータベースに格納されていて、誰でも閲覧可能なわけではなく、チャットGPTが専門性の高い情報を答えることはむずかしいのが実情です。
チャットGPT(ChatGPT)の問題点を解決する5つの方法
これまで、チャットGPTの5つの問題点・デメリットについて見てきましたが、下記の解決策・対策を用いれば、リスクや問題を大きく減らすことができます。
解決策1. 回答を鵜呑みにしない
チャットGPT(ChatGPT)の大きな問題点である、”情報が正確とは限らない” 点に対する解決策としては、やはり「回答を鵜呑みにしないこと」が大切です。
チャットGPTの回答が本当に正しいのか、必ず確認するようにしましょう。
解決策2.「履歴OFF設定」にする
チャットGPT(ChatGPT)の問題点である、”情報漏洩リスクがある” という点に対しては、2023年4月25日に、「入力したデータが、チャットGPTの学習のために利用されなくなる」という設定、『履歴OFF設定』が追加されたので、履歴OFF設定をしましょう。
「履歴OFF設定」の設定手順
① ChatGPTの画面左下にある、アカウント名の横「…」を選択し、歯車マークの「設定(Settings)」をクリックします。
②「設定(Settings)」から「データコントロール(Data controls)」タブを選択。いちばん上の「履歴とトレーニング(Chat history & training)」を「OFF(緑→グレー)」に変更すればOKです。
これで入力したデータがAIの学習に利用されなくなるので、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
解決策3. 有料版「ChatGPT Plus」を利用する
チャットGPT(ChatGPT)の “最新の情報をもとに回答できない” という問題点に対しては、有料版『ChatGPT Plus(チャットGPTプラス)』のサブスクを利用することで、対策可能です。
チャットGPTの有料版『ChatGPT Plus』には、Webから取得した最新情報を回答に取り入れられる『Webブラウジング機能』が搭載されています。
『ChatGPT Plus』は、月額20ドル(約2,800円)の利用料金がかかりますが、より使える情報を得たい人は、サブスク加入を検討してみると良いでしょう。
※ なお、チャットGPTを運営するOpenAI社は、2023年7月3日から、「Web上の有料記事も読めてしまう」という報告を受け、Webブラウジング機能(Browse with Bing)の一時停止をおこなっています。「再開しているかどうか」確認してから加入するようにしてください。
解決策4. 公表する前に著作権チェックを行う
チャットGPT(ChatGPT)が、著作権を侵害してしまうリスクがあるという問題点については、“公表する文書の作成時はアイディア出しのみ行う”、“公表する前に著作権チェックを行う”などの対策が必要です。
AIが生成したコンテンツに関する著作権の考え方は、どんどん変容していっているので、公表前に著作権侵害のリスクがないか、最新の著作権情報を含め、確認するようにしましょう。
解決策5. 専門的な内容を学習するツールを併用する
チャットGPT(ChatGPT)が “専門性の高い内容には使えないという問題点” については、チャットGPTに専門性の高い内容を学習させることで、解決できるケースがあります。
たとえば、「社内問い合わせの内容」をチャットGPTに回答させたい場合、細かい内容までチャットGPTに回答させることはむずかしいですが、GPT-4を使って社内向けチャットボットを作ったり、ChatGPTの技術を活用した社内チャット制作サービスを利用したりすることもできます。
例)企業向けAIチャットツール『GiGMON powered by GPT-4』
チャットGPTで足りない部分は、独自にカスタマイズしたり、ほかのツールで補うなど、対策を進めると良いでしょう。
チャットGPT(ChatGPT)の問題点を理解し、対策を講じて活用しよう!
このように、現状のチャットGPT(チャットGPT)には、いくつかの問題点がありますが、問題点・デメリットを理解した上で、対策を講じれば、効果的に活用することができます。
チャットGPTのメリット・良さを活かしながら、不足点を補足して使えるツールなども、どんどんリリースされているので、「どんな使い方が自分や自社に合っているか?」を考えながら、活用していきましょう。