フリーランスとしてはじめて取引先を探すとき、どんなポイントに注意すれば良い?
良い取引先と、避けた方が良い取引先の見分け方は?
そんな疑問はありませんか?
いま、WebデザイナーやWebライター、エンジニア、動画編集者など、スキルを活かして “個人で仕事をする人” が増えてきました。
新卒でフリーランスを選択する人も増えていて、「今月からフリーランスになった」という人や、「独立して個人事業主として生活していこうか考えている」という人も多いのではないでしょうか。
フリーランス(個人事業主)として仕事をはじめる上で、成功を左右する、いちばん大事なポイントの1つが『取引先選び』です。
“良い取引先と出会い” で事業が大きく発展し、毎日いきいきと楽しく仕事ができる人がいる一方で、取引先の選び方を誤り、料金の不払いや、人間関係のストレス、契約のトラブルなどを抱えて、フリーランスになったことを後悔するケースは少なくありません。
私自身、独立して5年以上経ちますが、過去、料金を支払ってもらえなかったり、安い単価のお仕事を受けすぎて疲弊したり、自分本位なクライアント様の要求に応え続けて体調を崩したり…と、多くの失敗を経験しました。
数々の失敗を経験する中で「もっと取引先の選び方を慎重にしていたら、事業発展のスピードや日々の幸福感がもっと違ったよな…」と実感しています。
そこで今回は、フリーランス初心者の人や、これから独立しようか迷っている人向けに、良い取引先の選び方のポイント・注意点を7つお伝えします。
1. 安すぎる単価
フリーランスの人が後悔しない取引先選びをするポイントの1つ目は、”安すぎる単価” は避けるです。
フリーランスになりたての人が、とくにやってしまいがちな失敗例なのですが、「とりあえず仕事をしよう」「経験を積むために、安価で受けよう」と低単価で案件を受注しすぎると、時間と労力を取られてしまいます。
低い単価でのお仕事は、本来受けられるはずの好条件のお仕事チャンスを逃すことにつながったり、仕事を進めていく上で、自分一人でできる作業量を超えるほどの仕事に恵まれるようになった時、外部発注することができなかったりと、事業の発展を妨げてしまいます。
独立してすぐの時は「お友達価格でやって〜」とお願いされることもありますが、低単価で発注する取引先は、1年経っても、3年経っても、低単価ということが多く、そこから生まれる紹介案件も、「同様の単価感で…」という話になりがちで、”低単価スパイラル“から抜け出すのがむずかしくなります。
何より、「低単価だから作業が楽か?」というと必ずしもそうではありません。
高単価の案件に比べ、かえって要求が細かかったり、先方にスキルや知識のある社員さんが不在で、指示が曖昧な上、修正や説明にかかる時間が多かったりと、意外と「低単価で受注した案件の方が、手間がかかる…」というケースは少なくないんです。
「毎日、早朝〜夜遅くまで働いているのに、なぜか収入が少ない…」という状況は、避けたいですよね。
相場より安い単価や、時給換算した時に採算が合わなそうな案件は、思い切って断るか、「週に◯時間分までにしよう」と配分を明確に決めて、安すぎる単価の案件に依存しないようにしましょう。
2. 契約書がない・契約書が細かい
フリーランスの人が後悔しない取引先選びをするポイントの2つ目は、”契約書がない案件“ と “契約書がやたら細かい案件” は避けるです。
まず、”契約書がない案件” については、いつでも発注停止・不払いなどのトラブルになりやすく、また、取引先として大事にしてもらえない可能性があるので、注意が必要です。
受注を決めるまでに、『業務委託契約書』や『秘密保持契約書(NDA)』などがないか、確認しておきましょう。
また、”契約書がやたら細かい案件” も注意が必要です。もし、契約書に単価などの契約条件以外に、「取引終了の時のデータ消去」や「引き継ぎに関する事項」「契約内容を遂行できなかった場合の補償」など、“取引停止などに関する規定がやたら細かく書かれている場合” は要注意です。
一見、細かく記載していて安心かと思いがちですが、過去、その会社で起こった契約トラブルをもとに、どんどん契約事項を追記していっているケースがあります。
大きな規模の会社については、細かい規定が多くなる傾向はあるのですが、社員数が10〜20名以下の会社にも関わらず、こと細かな記載が多い場合は、とくに注意しましょう。良い会社のように見えても、トラブルが起きやすかったり、取引先やスタッフさんを追い込んでしまったりする傾向が強い会社の可能性があります。
3. MTGが多い・指示がバラバラに来る
“MTGが多い案件” と “指示がバラバラに来るなど、メールやチャットでのやり取りが多い案件” も注意が必要です。
個人事業主・フリーランスと会社員の違いは、”成果物を出せない限り、お金が入ってこない” という点です。何も生み出さなくても給与がもらえる会社員とちがい、フリーランスは毎月の収入保障があるわけではないので、”1時間がすごく貴重” です。
でも、会社の社風や、経営者・担当者のキャラクターによっては、 MTG回数が発注内容や料金に比べて多かったり、打ち合わせ時間が長い場合があります。
ミーティング参加費用などを別途支払ってもらえれば良いですが、とくに追加費用などはなく、制作費などの料金に込みの場合、MTGの多さが負担増になる可能性があるので、よく精査しましょう。
また、指示が一括まとめてではなく、バラバラと来る傾向が強いクライアント様に関しても、コミュニケーションに時間を取られて、仕事のペースが乱される可能性があるので注意が必要です。
良い取引先ほど、時間をできるだけ取らないように配慮してくれたり、何往復もしなくて良いように、指示書をまとめてくれたりと、働きやすい環境を作ってくれるので、良い見極めポイントの1つです。
相手に悪気がなかったとしても、「MTGの要望が多いな…」「必要以上にコミュニケーションに時間を取られている気がする…」と感じた場合は、注意しましょう。
4. 離職率が高い
フリーランスの人が後悔しない取引先選びをするポイントの4つ目は、”離職率が高い企業“ は避けるです。
できれば、取引前に良い取引先かどうかを見分けられたらベストですよね。
多くの場合、「良い取引先」=「取引先で働く社員にとっても良い会社」であり、逆に、「負担が大きい取引先」は、離職率が高いなど、取引先で働く社員にとっても、負担を強いている可能性が高い傾向があります。
転職サイトなどで、会社の評判を検索してみたり、頻繁に欠員募集の求人を出していないか確認してみたりして、参考にすると良いでしょう。
なお、お取引をはじめてから短期間に担当者の退職が相次ぐ場合は、会社内部に問題があるケースがあるので、距離を置くなど注意するようにしましょう。
5. スキルアップ、学びになる要素が少ない
“スキルアップや学びになる要素が少ない取引先” についても、注意が必要です。
フリーランスがお仕事を続けていく上で、『スキル』は大事な要素の1つです。自分にとって簡単な業務のくり返しでお金を稼げることは喜ばしいことですが、今のスキルに満足して、最新の情報をアップデートしなかったり、実績や経験を積むことを避けてしまうと、既存の取引先との契約が終了したときに、ほかの仕事を見つけられず困ることになります。
目先の利益や楽さも大事ですが、スキルアップや学びを得られる取引先とのお仕事によって、大きく飛躍するチャンスを得られることもあるので、中長期的に見てプラスになるかどうかも検討するようにしましょう。
6. 実力不明のコンサルタントが出てくる
フリーランスの人が後悔しない取引先選びをするポイントの6つ目は、”実力不明のコンサルタント” が関わってくる場合は注意するです。
世の中には、ITコンサルタント、経営コンサルタント、ECコンサルタントなど、さまざまなコンサルタントの方がいて、本当に優秀な人も多いのですが、実務から離れてしまって、数年前の知識で話をしたり、机上の空論を並べたり、取引先へのアピールのために口を出してきたりする人もいます。
もし、実力不明なコンサルタントの人が関わってくる場合は、不必要な作業が増えたり、方針が2転3転してしまうケースも多いので、注意しましょう。
7.「お客様は神様でしょ」感覚が抜けない
フリーランスの人が後悔しない取引先選びをするポイントのさいごの7つ目で、いちばん難しく、いちばん大事なポイントは、”お客様は神様思想が強くないかどうか” という点です。
一般的に、「発注側は受注側よりも偉い立場である」「発注してあげている」という感覚を持っている人が多く、「ちょっと無理を言ったって良いでしょう」「これくらいしてもらって当然…」というスタンスで仕事依頼をする人は少なくありません。
でも世の中には、「お仕事を受けてもらっている」という姿勢で仕事を発注してくれたり、「手伝ってくれてありがとう」というスタンスで接してくれる取引先もあります。
フリーランスを続けていく上で、下請けのように仕事をするか、それともパートナーのように仕事をさせてもらうかは、人生の幸福度や達成感、仕事のモチベーションを大きく左右します。
後者のような対応をしてくれる取引先に出会ったら、大事にしましょう。
一方、「仕事を発注してあげている」という感じや、「自分達を最優先にしてほしい」という感覚を持っている取引先とのお仕事は、短期的な利益にはなったとしても、中長期的に見たときに、プラスにならない可能性もあるので、注意しましょう。
フリーランス・個人事業主という働き方を選ぶ大きなメリットの1つは、”誰と仕事をするかを選べる” という点です。
違和感やストレスを感じたら、疲弊してしまう前に、取引を見直してみると良いでしょう。
良い取引先の見極めポイントを押さえて、楽しく働こう
今回は、良い取引先の選び方の7つのポイント・注意点についてお伝えしました。
人それぞれに、気になるポイントが違ったり、苦手だなと思うポイントが違ったりするので、上記の内容がしっくりくる人も、そうでない人もいると思います。
“自分に相性の良い取引先” を見つけることがいちばんなので、経験を積みながら、「どんな取引先とお取引するのが、自分には合っているのか?」を探してみてください。