外科医に向いてる人はどんな人?外科医向きな性格は?
女性が少ないのはなぜ?
そんな疑問はありませんか?
TVドラマの主人公になることも多く、憧れの職業と語られることも多い『外科医』。
でもいざなってみると、労働環境が過酷で、ミスが許されない厳しい環境の中、「自分は外科医に向いているのだろうか…」と不安になる人も多いのではないでしょうか。
また、これから外科医を目指している人や、志望科選びで外科を希望するか迷っている研修医・医学生もいるでしょう。
そこで今回は、外科医に向いてる人・向いていない人の特徴・性格や、女性に外科医が少ないのはなぜかについてお伝えします。
外科医に向いてる人はどんな人?
“外科医に向いている人” とは、どんな人なのか気になりますよね。
外科医に向いている人の特徴として、細かい傾向・特徴はいろいろあるのですが、結論から言います。
外科医に向いている人 =「体力がある人」
結論:「外科医に向いている人」=「体力のある人」
このポイントだけは、外せません。
『外科医』は、手術中、3〜4時間あるいは7時間以上など、長時間立ちっぱなしのまま下を向き、集中力を切らさず、処置を続ける、過酷な仕事です。
また、緊急の呼び出しや緊急オペが必要になるケースもあり、長時間労働を強いられ、休日もリラックスできないなど、生活リズムが崩れることも少なくありません。
身体への負担がかかる外科医の仕事を続けるには、『体力』が何よりも重要な要素。
最近は、外科医の身体の負担を減らした働き方を推奨する動きも出てきていますが、まだ広く浸透しているわけではなく、現時点においては、外科医に向いている人を語る上で、『体力』があることが大前提となることは押さえておきましょう。
外科医に向いている人の9つの特徴
“体力があること” が前提条件になることを踏まえた上で、外科医に向いている人として、下記の9つの特徴があげられます。
<外科医に向いている人の特徴>
1.「集中力」がある人
2.「視力」がいい人
3.「手先が器用」な人
4.「プレッシャー」に強い人
5.「向上心」がある人
6.「臨機応変な対応・アドリブ」に強い人
7.「コミュニケーション能力」が高い人
8.「慎重」な人
9.「人の役に立つこと」に喜びを感じる人
1.「集中力」がある人
長時間手術をする外科医にとって、『集中力』が続くことは必須の要素です。日ごろから、”2〜3時間以上集中して勉強や作業をできる人” は適正があります。
2.「視力」がいい人
外科医にとって、体力の次に大事と言っても過言でないのが『視力』です。
最近は、疲れにくい眼鏡や、視力の低下を防ぐ治療法、医療用ロボットなどもあり、視力を補う方法がいくつも出てきましたが、やはり細かい処置が必要になる外科医にとって、”視力がいい” ことは大きなプラス要素です。
3.「手先が器用」な人
手術は手作業なので、”手先が器用な人は手術がうまい” 傾向があり、外科医向きです。「手先が器用だから」と外科を勧められる人は、少なくありません。
4.「プレッシャー」に強い人
外科医は、医師の中でも、患者の生死に関わる処置をすることが多く、緊張を強いられる職業です。一瞬の判断の遅れ・ミスが重大な医療事故につながる危険性もあり、プレッシャーに打ち勝つ強さを持っていることは、外科医として必要な要素です。
5.「向上心」がある人
医学は日々進歩していくため、研修医時代で学習終了…というわけにはいきません。
学会や医学雑誌・論文から、最新動向をキャッチアップしたり、症例に合わせた最適な術式を探したり、新しい術式・新薬に関する情報を収集したりと、日々勉強し続けなくてはならないので、学習意欲がある人が向いています。
また、外科医に必要な手技は、鍛錬で身につけなくてはならないので、勉強だけでなく、トレーニングを続けられる継続力・向上心がある人が向いています。
6.「臨機応変な対応・アドリブ」に強い人
手術中、外科医は、状況変化・トラブルに冷静かつ臨機応変に対応していかなくてはならないので、緊急事態でも臨機応変に対応できる人や、アドリブ・即興での判断に強い人は適正があります。
7.「コミュニケーション能力」が高い人
手術の説明をするときなど、外科医は、患者や患者の家族に密接に関わります。「先生(医師)の言うことは絶対」と考える人が多かったむかしと違い、近年は『セカンドオピニオン』なども普通になって、より医師に対してコミュニケーション能力を求める傾向が強くなっているので、コミュニケーション能力を磨いておくことが大切です。
8.「慎重」な人
外科医は切るという行為から、大胆さが大事と思う人もいるかもしれませんが、患者の命を預かる職業のため、じつはとても繊細です。1つ1つの診断や手技を丁寧に行え、手術中の状況変化に備えた準備をする慎重さを持っている人が向いています。
9.「人の役に立つこと」に喜びを感じる人
外科医は先述の通り、長時間労働を強いられたり、大きな責任の重圧に耐えなくてはならない、ハードな仕事です。外科医を続けるには、高いモチベーションや使命感が不可欠で、人の役に立つことに喜びを感じる人が向いています。
「大変なことも多いけれど、患者さんが元気になって退院していくのをみると、がんばろうと思う」という外科医は少なくありません。
以上、外科医に向いている人の9つの特徴でした。いくつ当てはまったでしょうか?
たくさん当てはまった人は、外科医の適性があると言って良いでしょう。
ただ、外科医にも「コミュニケーションは苦手なものの、手術がものすごくうまい人」「もとは不器用だったものの、日々の鍛錬で手技のスキルを上げていった人」など、さまざまなタイプの医師がいます。
9つ全部当てはまらないとダメというわけではないので、安心してください。
外科医に向いてる人の性格は?
なお、外科医に向いている性格としては、”他人に対して思いやり” があったり、他者の助言や最新の技術を受け入れる “柔軟さ” がある人などがよくあげられます。
自分が外科医に向いている性格かも、チェックしてみると良いでしょう。
<外科医に向いている性格>
・他人に対する思いやりがある
・他者の助言や最新技術を取り入れる、柔軟さがある
・行動力、決断力がある
・知的探究心が強い
・悲観的すぎない
・社交的、協調性がある
・感情の起伏が少ない、冷静
外科医に向いていない人の特徴は?
逆に、外科医に向いていないと言われる人の特徴として、下記の9つが言えます。
どれも対策ができるので、当てはまったら改善できるよう、心がけましょう。
<外科医に向いていない人の特徴>
1.「集中力」がない人
2.「視力」が悪い人
3.「手先が不器用」な人
4.「プレッシャー」に弱い人
5.「向上心」がない人
6.「臨機応変な対応・アドリブ」に弱い人
7.「コミュニケーション能力」が低い人
8.「不注意」な人
9.「人の役に立つこと」にやりがい・喜びを感じられない人
外科医に女性が少ないのはなぜ?
なお、外科医は女性が少ない傾向があります。
全医師に占める女性医師の割合は増加傾向にあり、2020年の時点で『22.8%』に上ったものの、女性医師が進む診療科として外科は少なく、診療科別のデータをみると、女性医師の割合が低い診療科のTOP10には軒並み外科が並び、未だ女性の外科医が少ない状況が続いていることがわかります。
<女性医師の割合が低い診療科TOP10>
診療科 | 病院における女性医師の割合(%) |
気管食道外科 | 3.8% |
整形外科 | 6.7% |
心臓血管外科 | 6.9% |
脳神経外科 | 7.0% |
消化器外科 | 7.4% |
外科 | 7.8% |
泌尿器科 | 9.2% |
呼吸器外科 | 10.0% |
循環器内科 | 13.0% |
肛門外科 | 13.2% |
(参考:厚生労働省 令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)
女性の外科医が少ない理由としては、やはり長時間の手術・長時間の労働で体力を必要とする点、緊急の呼び出し・対応が多いなどの働きづらさがあげられます。
また、外科医は体力・視力の限界もあり、外科医としてのピークが若く、30代〜40代半ばだと言われていて、その間に出産・育児を挟む可能性もある女性にとっては、外科医は選択しにくくなっているのが現状です。
近年は、「外科医も体力の負担が少ない勤務体制を」という動きも医学界ではじまっていて、少しずつ労働環境の改善の兆しも見られるようになってきているので、今後、女性医師の割合も増えていく可能性も大いにあります。期待しましょう。
外科医になるか迷ったら…
ここまで見てきて、「自分はこのまま外科医になるか」「外科医以外の道を探すか」迷ったら、一度、指導医や上司、先輩、同僚など、他者からの客観的な意見を聞いてみるのがおすすめです。
自分で自分の能力やスペック、適性を正確に把握・自己分析できている人は多くなく、他者視点での意見を聞いてみることで、ヒントになることがあります。
ただ、ここで気を付けてほしいのが、”1人ではなく、複数人の意見を聞いてみること“。そして、同じコミュニティ(職場)の人だけでなく、”別のコミュニティの人の意見も混ぜて聞いてみる” ということです。
どうしても人の意見には偏りがあります。同じ環境にいると、バイアスがかかって、的確ではない意見を、さも正しいかのように誤解してしまうことがあるので、「いろんな人の」「いろんな立場・経験からの」意見を聞くようにしましょう。
そして、どんなことを言われても、さいごに決めるのは『自分』です。
みんなに反対されて、無理だと言われたものの、「どうしても外科医になりたい」と努力を重ねて外科医になり、たくさんの人の命を救った人もいます。
ひと通り他者の見解を聞いた後は、必ず、”自分自身に問いかける時間” を作って、外科医を続ける・外科医を目指すかどうか決断してみると良いでしょう。
もし、決断に迷ったり、周囲に意見を聞けそうな人がいない場合は、医師専門のキャリアコンサルタントに相談するのも1つの手です。
1人でずっと悩んでいるより、自分の気持ちが明確になり、今の思いや今後のキャリアプラン、転職・転属・志望科に対する意志などがクリアになるので、まずは行動してみましょう。
外科医は「体力・視力・集中力」の3つが大事!
今回、外科医に向いている人の特徴や性格を見てきましたが、外科医にとって、やはり『体力・視力・集中力』の3点は欠かせない重要要素です。
外科医として満足のいく生き方をするためにも、”体力がない人” は体力増強、”視力が悪い人” は視力矯正、”集中力が足りない人” は、集中力トレーニングを行なって、基礎力アップを図ると良いでしょう。
自分の特技・特性を活かしながら、すてきな医師になれるよう、前進してみてください。