部下のメンタル不調に早めに気づきたい。見抜くサインはある?
部下のメンタル不調の初期症状を見逃さない方法は?
そんなお悩みありませんか?
上司として、職場環境の健全化や、部下の業務管理は重要な仕事の1つです。
とくに、”ストレス社会” と言われる昨今において、組織運用に欠かせないのが “メンタルヘルス対策” です。メンタル面の不調により、部下が突然休職・離職したり、生産性が一気に低下したりするケースは少なくありません。
管理職として、責任を問われる可能性もあります。
メンタル不調は、放置するほど深刻な状態になりやすく、改善がむずかしくなるので、早期に気づき、適切な対応を取ることが大切です。
そこで今回は、部下のメンタル不調に早期に気づくために知っておきたい、7つのサインと3つの対処法についてお伝えします。
部下のメンタル不調を見抜く7つのサイン
まず、部下のメンタル不調を見抜くために気をつけておきたい7つのサインについてお伝えします。
1. 遅刻・早退・欠勤が増えた
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の1つ目は、”遅刻・早退・欠勤が増える” です。
メンタル不調の初期症状として、「朝起きれない」「会社に行きたくない」などの理由から出勤時間の遅れや遅刻が多くなることがあります。
また、ストレスで眠れない日が続くなど「疲れが取れない」状況が続き、早退や欠勤が増えたり、休憩からなかなか戻ってこなかったりするなど、勤怠に変化が生じるので、「最近、遅刻・早退・欠勤が増えたな…」と感じたら、早めに対処しましょう。
2. ミス・物忘れが増えた
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の2つ目は、”ミス・物忘れが増える” です。
だれにでもミスや物忘れをすることはありますが、部下がらしくないミスを連発したり、お願いしていた指示を忘れることが頻発したりした場合は、メンタルの不調によって集中力・判断力が低下している可能性があります。
「最近、ミス(対応漏れ)が増えたな…」と感じた場合は、頭ごなしに叱るのではなく、部下がストレスを抱えすぎていないか、よく確認するようにしましょう。
3. 挨拶をしない・目を合わせない
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の3つ目は、”挨拶をしない・目を合わせないことが増える” です。
うつ病などメンタル不調の初期症状として、”人付き合いがおっくうになる” ことがあります。
・いつもは普通に挨拶をしていたのに、挨拶しないことが増えた。
・挨拶の声が小さくなった。
・声をかけても目を合わせないことが増えた。
・極力人とのコミュニケーションを避けている気がする。
といった場合は要注意です。
早めに声がけをして、悩みや不安、身体の不調がないか確認するなど、早急に対処しましょう。
4. 身だしなみが乱れる
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の4つ目は、”身だしなみが乱れがちになる” です。
以前は身だしなみに気を遣っていた部下が、ボサボサの髪、シワシワなワイシャツで出勤してきたり、コンタクトではなく眼鏡の確率が増えたり、急にメイクをしなくなったり…など、身だしなみに変化が見られたときは、メンタル不調の初期症状による影響の可能性があります。
身だしなみに気が回らないほど苦しんでいたり、すべてのことに無気力になってしまっていたりする可能性があるので、要注意です。
5. 残業が増えた
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の5つ目は、”残業時間が増える” です。
業務量が増えていないのに、部下が残業することが増えた場合は要注意で、メンタル不調から、仕事への集中力・気力が低下して、業務時間内に作業が終わらなくなっている可能性があります。
何に時間がかかっているのか、以前と比べて「極端に業務効率が落ちてしまっていないか?」など、よく観察してみましょう。
テレワーク(リモートワーク)を導入していて、部下の作業を間近で確認できない場合は、本人に「いま時間がかかっている業務は何か」を聞いてみるしかないのですが、聞き方によっては上司に責められていると誤解を生む可能性があるので、責める口調・雰囲気にならないよう注意しましょう。
6. 報告・コミュニケーションの頻度が減った
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン の6つ目は、”報告や相談など、コミュニケーションの頻度が減る” です。
3つ目のサイン「挨拶をしない・目を合わせない」でも言及しましたが、うつ病などメンタル不調の初期症状として、”人付き合いがおっくうになる” ことがあります。
もし、部下から話しかけられたり、報告・相談を受ける回数が減っている場合は、注意しておきましょう。
テレワーク(リモートワーク)だと、部下のメンタル不調に気づくのがよりむずかしいのですが、メンタル不調で休職・離職に追い込まれる前には、チャットの回数が減る、Zoom会議などでの発言の回数が減るなど、予兆が見られることが多いので、気にかけるようにしてください。
「以前は参加していた、部署(チーム)内での雑談に参加しなくなった」「あまり周りと話さなくなった」というときも、メンタル不調や部署(チーム内)の人間関係で悩んでいる可能性があるので、要注意です。
7. 笑顔が減った
部下のメンタル不調に早期に気づくためのサイン、さいごの7つ目は、”笑顔が減る” です。
「最近、部下が笑わなくなったな…」と感じたら、休職や離職のピンチだと言っても過言ではありません。
メンタル不調が原因でなかったとしても、何か悩み・不満があったり、仕事のモチベーションが下がっていたりする可能性があるので、早めに話し合いましょう。
部下のメンタル不調に気づいたときの3つの対処法
なお、上記のようなメンタル不調の初期症状に多く見られるサインが部下に見られたら、放置することは危険です。
下記の3つの対処法を試してみましょう。
1. 部下の話を聞く時間を取る
部下のメンタル不調の初期サインに気づいたときの対処法として、まずは、しっかり “部下の話を聞く時間を取る” ことが大切です。
部下と上司が、1対1で面談を行う『1on1ミーティング』の時間を作って、部下に最近の調子はどうか、悩みやストレス・疲れを感じていないかなどを、できるだけフランクに聞いてみましょう。
日ごろ、部下との距離感が遠い(上下関係が強い)場合は、コーヒーを飲みながら、ランチをしながらなど、”飲食” を絡めると、相談しやすい雰囲気になることがあるので、試してみてください。
話を聞くときに注意しなくてはいけないのは、『傾聴』を心がけることです。
上司の立場で話を聞くと、つい「こうしたらいい」「ああしたらいい」など、部下の話をすべて聞く前に、アドバイスをしてしまいがちなのですが、話を遮られることで、部下が「自分が未熟だからいけないんだ」「上司のようにはなれない…」など、自分をさらに責めてしまったり、孤独に追い込まれたりする可能性があります。
解決策を提示する前に、まずは部下の話をよく聞き、『共感』や『理解』の姿勢を示すようにしましょう。
上司が共感や理解を示してくれることで、悩み相談をしやすい環境ができ、部下のメンタル不調の深刻化を防ぐことができます。
2. 自分以外の支援者に協力を仰ぐ
部下のメンタル不調の初期サインに気づいたときは、1人で解決・対応しようとせず “社内に協力者をつくる” ことも大切です。
どんなに仲の良い、なんでも話し合ってきた “強い信頼関係のある上司と部下” であったとしても、上司と部下には上下関係があります。
本人は気を遣っていないつもりでも、言い出せないこともあります。また、メンタル不調がプライベートの問題からきていて、できれば上司に相談したくない…というケースも少なくありません。
上司が「自分でなんとかしよう」としても、部下のメンタルケアをすべて1人でまかなうことは不可能です。
同じチームの同僚や先輩・後輩社員、部下が仲良くしているメンバー、上司の自分が協力を仰ぎやすい上司や同期の社員、人事、社内メンター、産業医など、必ず協力者を作って対応するようにしましょう。
良かれと思って部下の状態を隠して、1人でサポートを続けた結果、部下が長期の休職・退職を余儀なくされるまで病状が悪化してしまったケースもあるので注意しましょう。
3. 専門家へ相談する
部下のメンタル不調の初期サインに気づいたときの対処法、さいごの3つ目は、“専門家へ相談する” です。
『メンタル不調』と一概に言っても、部下がメンタル不調に悩む原因はさまざまで、症状の進行具合も人それぞれです。
「最近元気になったな」と思ったら、急に出勤できなくなってしまった…など、状態の見極めは非常にむずかしく、大変そうだからと仕事を別の社員に振ったら「私は役に立たないと思われている」と落ち込んでしまうなど、対応の仕方もとてもむずかしいです。
部下本人が「自分は大丈夫です」「問題ないです」とがんばり過ぎてしまうケースもあるので、医者やカウンセラーなど専門家の意見・判断を仰ぎながら対処するようにしてください。
ストレス社会と言われる現代において、”こころの病気” は、誰でもかかりうるものです。
メンタル不調のサインが見られた部下だけでなく、自分を含め、一緒に働くほかの仲間にも起こりうることなので、いざというときにすぐ相談できる専門家を探しておきましょう。
部下のメンタル不調に早期に気づいて、効果的な対処法を
テレワーク(リモートワーク)が進み、部下のメンタル不調に気づきずらいケースも増えていますが、上記のようなメンタル不調のサインに早期に気づくことで、病状の深刻化を防ぐことができます。
「部下の様子がおかしいな…」と感じたら、放置せず、早急に対処するようにしましょう。