自分や自分の部下、自分の上司が「管理職に向いていないのではないか」「管理職の器ではないのではないか…」と悩んでいませんか?
企業には、組織のリーダーとして、マネジメントを行い、部下やチームをまとめていく『管理職』の役割を担う人が不可欠です。
でも、年功序列や社歴重視の考え方が強い日本において、たびたび起こるのが “管理職に向いていない人が管理職のポジションにつき、本人や周囲のパフォーマンスを損なってしまう” という問題です。
“一流の選手が、一流の監督になれるとは限らない” ように、管理職には向き不向きがあります。
管理職に向いていない人が管理職になってしまうと、① 部下の退職・休職が相次いだり、② 管理職に就いた本人自身が気に病んでしまったり、③ 会社・部署の業績が悪化してしまったり…と、多方面に悪影響が及ぶので注意が必要です。
管理職に向いていない人にはいくつかの特徴があります。
下記に”管理職に向いていない人の9つの特徴” を記載するので、該当する人を管理職にしようとしていないか、該当する人が管理職になっていないかを確認して、対策をしましょう。
管理職に向いていない人の9つの特徴
管理職に向いていない人には、いくつかの特徴があります。
1. 優柔不断
管理職に向いていない人の特徴の1つ目は、”優柔不断な人” です。
管理職の重要な仕事の1つとして、チームや仕事・業務の方向性を “決断” することが求められます。
“意思決定がなかなかできない人” や、”決断を人任せにする人“、”指示に一貫性がない人” は、部下からの信頼を得づらく、管理職になったとしても、部下を振り回してしまうので注意が必要です。
上司の決断待ちで業務が停滞したり、何度もやり直すなどロスが増えたりして、会社・組織全体の運営に支障が出る可能性もあります。
2. 責任逃れをする
管理職に向いていない人の特徴の2つ目は、”責任逃れをする人” です。
管理職をやる限り、何かトラブルがあったときに、責任者として矢面に立つことがあります。たとえ、部下が100%悪いケースの場合でも、管理責任を問われるのが管理職です。
何か問題があったときに、「自分は知らない」「部下のせいだ」と無関係を決め込んだり、取引先など第三者に責任をなすりつけるタイプの人は、管理職に向いていません。
“自己保身に走る管理職” がいると、部下の離職が相次ぎ、「何かあったら自分のせいにされるから…」と、積極的に仕事をする社員が減って、会社・組織の生産性の低下を引き起こすので、注意しましょう。
3. 自己流を押し付ける
管理職に向いていない人の特徴の3つ目は、”自己流を押し付ける人” です。
プレイヤーとして優秀だった人に多いのですが、過去の自分の成功体験をもとに、部下に「こうしろ」「これじゃダメだ」「まだできていないのか」など、自分基準で指示を出すタイプの人は、部下を育成できず、離職や休職に追い込んでしまうので注意が必要です。
組織が崩壊するだけでなく、『パワハラ』で訴えられるなど、トラブルになるリスクがあります。
“部下に合わせた指示・アドバイスができる人” かどうかは、管理職の向き不向きを判断する重要なポイントです。
4. コミュニケーション能力が低い
管理職に向いていない人の特徴の4つ目は、”コミュニケーション能力が低い人” です。
管理職には、”部下の育成” や “他部署との協業”、”会社のトップ・経営層との調整” など、あらゆる場面でコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力が低い人が管理職になった場合、部下との関係がうまくいかず、離職率の増加する、社内がギクシャクする、個人で突っ走って会社の方針とちがうことをしてしまう…と、トラブルが頻発するので注意が必要です。
個人プレイヤーとして業績が良い人でも、コミュニケーション能力が低くて、管理職になると同時に周囲に悪影響を及ぼしてしまうケースもあるので、適正を見極める必要があります。
5. 仕事ができない・ミスが多い
管理職に向いていない人の特徴の5つ目は、”仕事ができない・ミスが多い人” です。
「管理職なのだから、当然優秀な人が選ばれるだろう…」と思うかもしれないですが、会社によっては、社歴の長さや年功序列、性別によって、仕事ができない人やミスが多い人が管理職になることがあります。
この場合、部下や周囲がフォローに回ることになり、社内に不満がたまるほか、「この会社は人を見る目がない…」と、優秀な人から退職していく傾向があり、人材の流出につながるので、注意が必要です。
ただ、仕事ができなかったり、ミスが多い人でも、”なぜか愛される・憎めないキャラクターの人” は、周囲のチームワークを良くして、組織としての生産性を上げる可能性もあるので、個人の特性・性格で見極めましょう。
6. 手柄を独り占め・横取りする
管理職に向いていない人の特徴の6つ目は、”手柄を独り占め・横取りする人” です。
チームや部下の手柄を “自分の手柄” としてアピールするタイプの人は、部下からの人望を失って孤立したり、部下の仕事へのモチベーションを削いで退職に追い込んだりと、組織の崩壊を招くので、管理職に向きません。
優秀な人材の流出が起きて、組織力が低下し、会社の業績に悪影響を及ぼすので、管理職を任命する立場の人は、「本当に、自分の手柄だと報告してくる人の成果なのか?」をよく見極めるようにしましょう。
管理職に任命するなら、仕事の成果が自分の力による面が大きかったとしても、“部下やチームみんなで成し遂げたこと” として、周囲を労える人が適任です。
7. 機嫌がコロコロ変わる・感情的
管理職に向いていない人の特徴の7つ目は、”機嫌がコロロコ変わる人・感情的な人” です。
感情コントロールができない人が管理職に就くと、部下やチームのメンバーが管理職の顔色を伺わなくてはならなくなり、業務が停滞する原因になります。
すぐ不機嫌になる、怒る、オロオロする、特定の人だけを可愛がる…など、立場のある人間が感情をダイレクトに表に出してしまうと、周囲にプレッシャーや不安・イライラが広がり、メンバーのメンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。
また、感情的な人が管理職になると、「指示をしたら部下が不満そうな顔をした…」「次のプロジェクトが成功するか心配…」など、気に病むことが増え、管理職になった本人もメンタル不調に陥りやすくなる可能性もあり、注意が必要です。
管理職の感情によって決断がコロコロ変わり、メンバーを振り回して、仕事のモチベーションを下げる要因にもなるので、デメリットが大きいです。
組織崩壊・人材難・業績悪化の原因になるので、避けましょう。
8. プレイヤー気質・人に任せられない
管理職に向いていない人の特徴の8つ目は、”プレイヤー気質・人に任せられない人” です。
業績1位だった人など、優秀な社員を管理職にする場合によくあるのが、“プレイヤー気質が抜けない人” を管理職にしてしまうという人選ミスです。
管理職になっても、”プレイヤー気質” が抜けず、「自分ならこうする」と部下に高いハードルを求めてしまい部下を離職・休職に追い込んでしまったり、部下に仕事を任せず自分で動いてしまって、管理職だけがハードワークになって部下が育たなかったりと、組織力の低下につながります。
管理職になりたてのときは仕方ないのですが、半年〜1年以上経ってもプレイヤー気質が抜けない人の場合、管理職としては適性がない可能性が高いです。
また、優秀な部下に対して自分以上に活躍することを恐れて牽制したり、仕事の仕方を教えない人は、上司の器ではないので、管理職に絶対据えてはいけないタイプです。
最終的に組織の足を引っ張るので、注意しましょう。
9. 経営的な視点がない
管理職に向いていない人の特徴、さいごの9つ目は、”経営的な視点がない人” です。
管理職に必要な力として、”組織のことを広い視点・高い視座から見る力” は不可欠です。
管理職には、短期的な成果や目先の利益に左右されるのではなく、会社として5年後・10年後のビジョンを考えて判断したり、現場のスタッフの声を聞きつつ、経営層の意向とのすり合わせをしたりという、経営的な視点に基づく行動が求められます。
自分や自分の部下のことだけでなく、組織全体のことを考えての決断を要求されることも多いので、視野が狭いと経営層との軋轢を生み、最終的に仲違いになってしまうこともあるので、注意しましょう。
管理職に向いていない人が管理職に就いたときの末路
上記のような特徴を持つ、”管理職に向いていない人” が管理職に就くと、下記のような末路・結果になるので、要注意です。
<管理職に向いていない人が管理職に就いたときの末路>
・組織崩壊
・人材の流出
・社内雰囲気の悪化
・チームの生産性ダウン
・ハラスメントなどのトラブル
・本人を含めメンタル不調者の増加
・人材難(評判の悪化)
・プロジェクトの停滞
・業績の悪化 など。
管理職に向いていない人が管理職になった場合の対策法
もし、管理職に向いていない人の特徴に当てはまる人が管理職になってしまった場合は、下記のような対策・対処法を行いましょう。
1. 管理職に向いていない人が上司の場合の対策
“自分の上司” が管理職に向いていない人の場合、まずやるべき対処法は “上司とできるだけ関わらない・距離を取るようにする” ことです。
上司の上長や人事部に相談して、上司の転属もしくは自分の異動を願い出るのも効果的ですが、すぐに対応してもらえないこともあります。
管理職に向いていない上司と深く関わるほど、ストレスが蓄積し、仕事へのモチベーションが削がれ、自分の人生への悪影響度が高まります。
まずは上司との距離を取り、関わりを少しでも減らすようにしましょう。人事などに相談しても改善しない場合は、上司に対するストレスでメンタルや健康の不調に陥る前に、早めに転職を検討するのもおすすめです。
2. 管理職に向いていない人を管理職に任命したときの対処法
管理職に向いていない人を、管理職に任命してしまった場合は、できるだけ早めに、管理職になった “本人” と、いちばん被害を被りやすい “部下・チームメンバーたち” と、話し合いの時間を持ちましょう。
管理職に就いた本人には、「管理職という立場になったことが、プレッシャーになっていないか?」も、きちんとヒアリングをしながら、マネジメントの仕方などを指導し、改善が見られるかをチェックしましょう。
自分だけの指導では改善が難しそうであれば、『マネジメント講習・リーダー講習』など、外部の指導者の力を借りて、本人の意識を変えていくことも有効です。
そして、管理職に向かない人のもとで働く部下 や 同じチームの人 には、きちんとフォローをすることが大切です。
フォローがないと、「会社が問題を把握していない」「何もしてくれない」と退職が相次ぎ優秀な人材からどんどん辞めていく事態になるほか、うつ病などのメンタル不調、業務のしわ寄せによる過労などで体調を崩す社員が続出し、休職者が増えるなど、組織が崩壊してしまいます。
事態が深刻化する前に、ヒアリングの時間をしっかりとって、社員のケアを徹底しましょう。
なお、管理職に向かない本人に、何度指導しても改善しない場合は、外部から管理職を採用してくるのも1つの手です。社内にいるメンバーを配置換えするより揉めずに済むケースがあります。
いずれにせよ、管理職に不向きな社員を管理職にし続けると、組織には害しかないので、“配置換え・降格” も選択肢に含めて、対応を検討しましょう。
3. 管理職の器じゃないのに、管理職を任された人はどうすればいい?
管理職の器ではないのに、管理職を任された場合は、できるだけ早めに、”メンター” を見つけてください。
メンター(Mentor)とは、仕事やキャリアの悩みについて助言や指導をし、ビジネスマンとしての成長を後押し、精神的なサポートしてくれる人を指します。
自分で「管理職に向いていない」「管理職の器じゃない」と気づきながら責任者のポジションを続けるのは、非常に大きなストレスになります。
管理職のポジションを辞退したい、プレイヤーに戻りたいと思っても、組織人事の都合上、すぐ平社員のポジションに変更してもらうのが難しかったり、周囲の目もあって、降格を選ぶことも辛かったりします。「どんな道を選んでも、苦しい…」というケースが大半です。
ストレスで精神や身体的不調に陥らないためにも、まずは相談できる “メンター” を見つけて、「これからどうしたら良いのか?」を1人で抱え込まず、第三者と相談しながら考えるようにしましょう。
社内に信頼できる上司・先輩がいれば、社内メンターを探すのも良いですし、社内に良さそうな人がいない場合は、社外のキャリアカウンセラー・コーチなどに相談してみるのもおすすめです。
オンライン講師サービスの『ストアカ』であれば、1時間3,000円〜で相談に乗ってくれるリーダー・マネジメント講習の講師もいるので、試しに話を聞いてもらうのも良いでしょう。
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管理職に向いていない人を管理職にし続けるのはNG!
このように、管理職に向いていない人には、いくつかの特徴があります。
管理職に向いていない人が管理職に就くと、チームの雰囲気・生産性が悪くなり、業績が悪化するほか、離職・休職が相次ぎ、最終的に組織崩壊を引き起こしかねないので、注意しましょう。
“適材適所” という言葉があるように、優秀なプレイヤーが優秀な管理職になれるとは限らないので、管理職の人選は慎重に行うことが大切です。